【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第95章 95話
その頃の私は、うっすらとした予感に確信を感じていた。
やっぱりまたこうなったか…
呼びつけられた先で、着せ替え人形と化す。
キキョウさんが私に求めるものと言えばこれだ。
「ン〜やっぱり女の子ね〜、こういうお洋服が似合うのは本物の女の子だからこそ…」
着替え終わった私の全身を見て、キキョウさんは感激している様子だ。
それにしても女の子女の子と、異常な執着を感じざるを得ないこの言動はなんなのだろうか…
前に着せ替えされた時もそうだった。
キキョウさんって娘が欲しかったのかな…
若干切なくなってしまうと、このくらいの事ならいいかな…なんて
私は今日も、できるだけキキョウさんの要求に応える様にしていたのだが…。
「名前さん…、あなた本当にうちの子になる気はない?」
上がり切ったテンションを少し下げてキキョウさんは言った。
「え…?」
要求に応えよう。
直前までそう思っていたので、準備していた「わかりました、いいですよ。」をグッと喉で抑えるが、代わりに口からは疑問符しか出ない。
理解が追いつかない状態で、キキョウさんは更に続ける。
「あなた、家族も行くところもないんでしょう?」
「はい...」
「息子と結婚して、私の本当の娘になる気はなあい?」
「け…!?」
そこまでして娘が欲しいのか?!
息子ってどの?!
殺人一家に嫁入り?!
なんで私が?!
どう見ても殺し屋の才能皆無なのに?!
あらゆるハテナに支配されて、もうこれはパニックと言っても過言ではない。
どんな発言が曲解されてYESに取られてもおかしくない状況で、私は喋ることができなくなっていた。