【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第94章 94話
「ご無沙汰しています。」
「久方ぶりじゃの」
しばらく来ていなかった稽古場の雰囲気に、少し背筋が伸びた。
初めてここに立った時は、まともに纏もできなくてよく倒れてたな…
「お待たせしていたらすみません。今何分ですか?」
「いや、時間丁度じゃよ」
「もっと早く着くつもりだったのに…、3分くらいかかちゃいました。」
ふっと鼻で笑いつつ目線を逸らすゼノさん
少しは成長を感じてもらえた様で、私に背を向けると水見式のグラスを差し出してきた。
発の成果を見せろとのことだ。
以前は水の上の葉がグラスの底に移動する程度だったが…
「靴の中、見てもらえますか?」
「…!」
ゼノさんの気が付かないうちに、靴の中へ葉を移動させ驚かせることができた。
「小賢しい」と苦言を呈されたが、ゼノさんの反応が嬉しすぎてついニコニコしちゃう
後は、会得した能力を披露して現状を報告
その時は終始真顔で見られていただけだったけど…
「半年弱で、能力も2つ完成したか…
お前にしてはかなりやった方だな。」
これも多分、多分だけどめちゃくちゃ褒めてくれている。
「こっちの念は今の所こんな感じでいいかなって思っているんですけど…」
調子に乗った態度が良くなかったのか。
順調だった雰囲気が、ゼノさんの眉間の皺を察知した事によって一気に崩れた。
「…名前、まだ諦めていなかったか。往生際の悪い」
「…。」
流石、私の考えなどお見通しな様子だ。
二の句を継ぐ前に、さっさと稽古場の出口に向かうゼノさん。
ヒヨコのように慌ててその後を追い、私達は部屋を後にした。