【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第76章 76話
《翌日正午》
「おおー、すっげー」
慌ただしくも完成した神字を見下ろしてキルアは感心したように言った。
若干睡眠不足気味な私は身なりを整え、向こうに送るものを床に並べている
まずは一番転送しやすい[念を込めた石]それから液体の実験で[水の入ったコップ]
後は[ミルキに返却する制服]と一応生き物である[卵]・・
まずはここまでを成功させてその後、動物を送るつもりだ。
めまぐるしい忙しさでまだ実感がわかない・・。
この能力について知らない事が多すぎるのだから仕方がないとは思うけど・・
「落ち着いて、頑張りましょうね」
私の挙動不審さを見かねてか、ウイングさんは背中をポンポンと叩いてそう宥めてくれた。
自信なさげな目で見つめ返して返事の代わりをし
そのまま騒いでいるズシとキルアに目線を移す
こんな私をよそに2人は盛り上がっているみたいだ。
昨日買ったおニューのキャップを被っているキルアに、ズシが「かっこいいっす!」と目を輝かせていた。
そのキャップを見て、ああサダソ戦の八百長試合の時にかぶってたやつか・・
もしかして昨日の一件があったから、街で目立たないように買ったのかな・・
などと関係のない事を考えているのは、私が現実逃避をし始めているから・・
「あ、もしもし?ゴトー?オレオレ」
なんだか詐欺のような語り口で、軽くゴトーさんから直属のゼノさんに取り次いでもらったキルアは
少し世間話をするとこちらの状況を説明した。
あっちも準備ができているみたいだ・・。
「んじゃ、12時になったしさっさとやろーぜ」
人事だからなのか、ただ面白いものを見たいからなのか・・
キルアは楽しげに私をせっつかす・・
眉間に皺を寄せ、ジトっとキルアを睨むと彼は更に上機嫌になるのだった。
「じゃ・・、ま、まずは神字を書いた石から・・」
皆に見られていて・・なんだかちょっと恥ずかしくなってきた・・。
ウイングさんの見守るような目線に答えなくちゃと思うし
ズシの期待の眼差しにも良いとろこ見せなくちゃと思う
キルアにいたってはこの、高みの見物お手並み拝見と言った態度をギャフンと言わせたい!
私は腹と腰を据えて、床に正座になり
首からかけている指輪と石を触りながら念じた。
現在ゾルディック家、稽古場にあるであろう指輪イメージして