【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第74章 74話
「さて、ちょとは悲しい気持ちが紛れましたか?そろそろお昼にして
午後からは実際に神字を物に念を込めてみましょう。」
何事もなかったかのように話を再開させられて、ちょっと拍子抜けしてしまったけど
なんだ、そういう事か。知らないうちに顔に出ていたなんて・・
前にもそれでゴンに気を使わせてしまったし気をつけなくちゃな・・。
それからちゃちゃっとお昼を済ませ、一番広い稽古場にズシを呼んで集まった。
「さて、試しにまずは・・」
ウイングさんは私たちの前に立ち、ポケットから見覚えのある石を取り出す
「あ!初めて対の指輪を転送した時の」
「はい、そうです。私が念を込めやすいように神字を書いた石ですね。
名前さんはこれを参考にして、何も書かれていない同じ石に
念を込めながら神字を書いてみてもらえますか?」
そう言われ石を手にし、先ほど説明された通り石に念を込めてみる・・
ズズズと石に模様か刻まれて行き、私が集中している横でズシが「おおー」っと感心したように声を上げていた。
「はい、出来上がりです。どうでしたか?」
「あ、思ったより難しくなかったです。ちょっと時間がかかっちゃいましたけど・・」
「いえいえ、恐ろしく早いですよ。群青の念はよほど扱いやすいのでしょうね」
本当にこのオーラは一体なんなのだろう・・
ありがたいと思う気持ちはあるけれど、自分の体の中に得体の知れない物が混入しているようで正直気持ちが悪い。
例えるなら寄生虫を飼っているような感じだ・・。
「では次に、その石を転送してみましょう」
「はい」
この石は前回と違いウイングさんではなく転送能力を持つ群青の念が込められている
ウイングさんが言うには、扱いやすさが一目瞭然らしいけど・・。
群青の念に対して煮え切らない気持ちを抱えたまま、能力を発動させた。
その一瞬の出来事
特に集中しているわけでもなく、ちょっと触れただけの風船が割れたような感覚と素早さで
石が玄関に転送され遠くから転がる音が聞こえた。
「入り口で何か落ちた音がしたっす!」
「素晴らしい」
私も驚いている・・
物の大きさにもよるけれど、今までの能力効果とは比べものにならないくらい早い
手元から消える速度は以前と変わらないけれど、転送先に現れる速さは、もはや発動した瞬間と全く変わらなかった。