【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第65章 65話
「おはようございま~す」
「あ!おはようございますっす!」
朝早く稽古場の扉を開ける
中では既にズシが自主練に励んでいて、ウイングさんを待っているようだった。
少し早く来すぎたみたい
『ますっす』って何か変なの・・・
思わず小さく笑うと、ズシは不思議そうに私を見上げた。
その仕草が子犬の様でとても可愛らしい、本人に言ったら怒られそうだけれど
「名前さん早いっすね」
「ズシもね、もう朝ごはん食べた?」
ウイングさんの元で修行を始めて早数日、ズシとはすっかり仲良くなっていた。
その理由は2人の生活事情
朝も夜も修行に明け暮れてるからとはいえ、あまりの生活感の無さに最初は唖然としたものだ。
今もこうして朝食を用意しに早めに稽古場に出向いている
ほとんど共同生活だから、仲良くなるのは必然的だった。
ズシ本人も素直でいい子だし・・・
「まだっす、師範代を起こしてきますね」
「あ、いいよ。私たちが早すぎたし
それじゃもう少し待ってて、今ささっと支度するから」
元々早起きや料理なんて得意な訳でもなかったのだけれど
人間、誰もやってくれる人が居なくなると、意外と出来たりするもので・・
どうしてもちゃんとした朝ごはんが食べたくなった私は、今はもう慣れた手つきで焼き魚をひっくり返していた。
「おはようございます、名前さん
いい匂いがすると思ったら貴女でしたか、すみませんいつも」
「おはようございますウイングさん、お早いですね」
あわてて起きてきたのだろうか、ウイングさんは寝ぼけ眼でシャツも両端が出てしまっている
まだかかりそうだと伝えると、彼は顔を洗いに洗面台に向かって行った。
「自分も何か手伝うっす」
「じゃあ箸とグラスを出して、ご飯をよそってくれる?」
「はいっす」
そして、このほのぼのとした朝食の時間は、私にとって細やかな幸せの時でもあった。
というのも、これから一日中きつい修行に追われなければいけないからだ・・・・・