第1章 出会い
「...え............?」
咄嗟に立ち上がり振り返るとそこには、紫色のパーカーを着た、気怠そうな目をこちらに向けている男が立っていた。
その男はさっきわたしが見かけた猫を抱きかかえていた。
ーーーーこの人の飼い猫なのかも!
私はそう思い抱えていた猫を下ろす。
「あっ、あの、すみません、勝手に触ったりして・・・あと、その、連れて帰ったりもしませんのでっ・・・」
ぺこりと軽く頭をさげる。
一 「...........................」
その男はなにも言わずその場にしゃがみパーカーのポケットから猫の缶詰を取り出し猫たちに餌を与え始めた。