第1章 出会い
「今日はひとまず帰るかぁ....」
ピンとくる物件もなく、お腹も空いてきたのでそろそろ帰ろうと歩き出した時、一匹の猫が建物横の細めの路地からでてきた。
「....猫は住みたいところに住めるからいいなぁ」
なんて考えていると、さっき猫がでてきた路地から複数の猫の鳴き声が聞こえてきた。
興味本位でその路地へと足を進める。
段ボールやビール瓶を入れるケースなど、様々なものが散乱していて通りにくい道。
なんとかそこを抜けると6匹の子猫が肩を寄せ合い魚のようなものを食べていた。
「うわぁ、かわいいーっ!」
思わず声をあげると子猫たちがこちらに気付き、動きを止めジッと見つめてくる。
「大丈夫だよ、敵じゃないよ、怖くないよ...」
ニコニコと笑顔を向けながらながらジリジリと距離を詰める。
「ふわふわだぁー...//」
子猫を撫でることに成功したわたしは一匹の子猫を抱きかかえる。
「可愛いにゃー、ふわふわだにゃー、連れて帰りたいにゃぁっ」
頬を緩ませ路地というのをいいことに猫語を使い通じるはずもない猫に話しかける。
「........ 連れてかないでね」
すぐ後ろから、突然聞こえた声。