第1章 出会い
「はー...どこも高いんだなぁ...」
不動産屋の窓ガラスに貼られた物件紹介の紙を眺めながら小さく呟く。
直属の上司が変わり、上司のパワハラセクハラに耐え切れずわたしは3年と2ヶ月勤めた会社を退職した。
今は有休消化期間中で、1ヶ月後には寮を出なくてはならない為、近場の安いアパートを探していた。
社会人にもなって実家に帰り親に甘えるわけにもいかず、かといって家も職もないまま。
このままどうなってしまうのかと思いながらも、心のどこかで貯金ならある、なんとかなるだろうと思い、未だ焦りもせずのんびりと家を探していた。