第2章 六つ子
もう一度座り直し、人が現れるのをじっと待つ。
ーーーお母さん?お父さん?それとも弟さん?おそ松くんどうして戻ってこないのよ気まずいじゃない!
スッーーーと居間の襖が開く。
一「・・・・・・・」
「・・・・あれ?」
私を見るなりかたまる彼。
私も彼を見て時が止まったようにかたまる。
紫色のパーカー。気怠そうな目。少し曲がった背中。ボサボサの頭。そしてなにより目に入ったのが、抱きかかえている猫。
「あれ・・・おそ松、くん?・・・」
わたしは疑問に思ったことをそのまま口にする。
え、あれ?さっきまで一緒にいたよね?二階に行ったんだよね?
一「・・・・・一松だけど」
そう言うと彼は猫を抱えたまま部屋の隅へ行き腰を下ろした。
一「・・・・・・」
「・・・・・・」
沈黙が続く。膝の上でぎゅっと拳を握り、ない頭で考える。
ーーー名前、一松って言ったよね?弟さんなのかな。でもこんなに顔そっくり?しかも路地で会ったのこの人っぽい。じゃあZUDAYAでおそ松くんに会った時になんで、また会ったなんて言ったの?え、もしかして私騙されてる?
ーーー何かが起きる前に帰ろう。
そう思い立ち上がったとき。再び居間の襖が開いた。