第2章 六つ子
お「ただーいまー」
靴を脱ぎ彼が家に向かって叫ぶ。返事はない。
「お、お邪魔します・・・」
お「どーぞどーぞー」
にこにことしながら彼が招き入れてくれて、居間へと案内される。
ーーー誰もいないみたい・・・これってヤバい状況じゃない?いや、でもあくまでも猫を見せてくれるって言うから来たんだしっ。彼だってきっとそんなつもりない!よね?・・・
彼が座布団を出してくれてその上に小さく正座をしてあたりを見渡す。
お「お茶でいーい?」
お盆の上に湯呑みを2つ乗せた彼が台所から居間へとくる。
「あ、すみません・・・ありがとうございます」
ーーーよし、猫見てさっさと帰ろう。そうしよう。
「あのー・・・猫ってどこに?」
お茶に一度口を付け、さっそく猫の話題へとすり替える。
お「あーー・・・猫ね、ちょっと待ってて。」
彼は頭をぽりぽりと掻きながら二階へと上がっていった。
「ふぅ・・・」
1人になり足を崩し、もう一度部屋を見渡す。
ーーーあの額に入った、はちまき巻いた人誰なんだろう・・・おじいちゃんかな?
そんなことを考えていると、玄関の戸が開く音が。