第16章 猫と私①
ざわざわと騒がしい教室。
きっとおれの目の前、机に座るクロのせいもあると思うけど……。
「クロ、邪魔なんだけど…」
「おう、邪魔してんだよ」
「何で?」
おれが聞けばクロからわざとらしい溜め息が聞こえた。
「あのな、連絡来るまで待つつもりだったが、いっこーーーーに連絡無いんで直接聞きにきたんだよ」
「あ、ごめん。忘れてた」
「はぁっ!?普通忘れるか!?で、どうなった?」
「警察には届け無いって。書面できっちり近づくなって書かせるみたい」
どこか納得してないのかクロの表情は険しい。
「…甘いな」
「あやねが決めた事だから。それに、あやねだって警察に嫌な事たくさん聞かれるんだ」
スマホを取り出しメールが来ていたので確認するとあやねからだった。
するとクロが『あやねか?』って聞いてくる。
「うん。あやね」
「だろうと思った。研磨、あやねとどうなった?」
おれはクロの顔を見た。
「付き合う事になったよ」
「…そうか。良かったな」
「うん…」
「嬉しくないのか?」
そう言ったクロが真顔でおれを見てる。
嬉しくない。わけがない。
少し複雑な気持ちなのは認めるけど。