第15章 *黒猫の想い人【番外編】
薄暗い部屋の中、目を開けて今の状況を整理する。
あやねを家に送ってから後輩の女も無事に送り届け家に帰ったんだよな。
どうやらそのまま寝て、懐かしい記憶が夢として再生されてたみたいだ。
自分の部屋で別れたからこの部屋にはところどころ思い出す事もあるわけだ。
「しかし…俺あやねとの約束破ってんな」
あん時は自分の事ばっか考えて好きって言ってたし、何よりあやねは前の事覚えてたのかね…あの時俺が言った事。
「忘れてるか。あやねは絶対に無いって言ってたけどまた俺に抱かれたもんな…」
あやねを思いフッと笑う。
まぁ、俺も少しでもあやねの気持ちが欲しくて心臓の近くにいっつも俺の印を付けたり、案外乙女な部分があるんだと再確認したしな。
もう……こうやって思い出すのもやめないと。
「あいつらが付き合うんだ…」
俺はうつ伏せだった体勢から仰向けになり天井を見る。
「あやね好きだ…」
囁く声で俺の最後の想いを吐き出す。
「好きで好きで仕方ねぇわ。俺と付き合えよー。よそ見すっから研磨の事1番って気付くんだろー!バカー……まぁ、俺が余計な事言ったんだけどな…」
どっちも大切だから仕方ない。
俺は目を閉じてもう一度寝ようとし、心からの本心を囁く。
「幸せになれよ……」
俺の長い、長い片想いはやっと終わり、薄れゆく意識の中あやねと研磨の笑顔が見えて俺は安心して眠りにつけた。
【完】