第13章 猫⑬
「はぁ、ったく…こんなのもうごめんだぜ!?」
「それは同感…おれ一人じゃ勝てなかったし…」
「ははは、さっきも殴られそうだったしな!」
「うん。でも、殴られ無いと思った」
「へ〜そんな余裕あったんだ?」
「……ぜったいにクロが来ると思ってたから」
クロを見て見ると少し驚いた顔をしてる。
「…その信頼に俺が応えて良かったな!」
ニカって笑うクロにおれも少しだけ笑い、ホテルを出るとクラスの女子が待っていた。
「おっ!サンキューな!助かったわ」
「い、いえ!!役に立てて良かったです!」
「とりあえず、あやね送るか」
寝てるあやねをタクシーで運ぶお金はあの男に出させ、おれ達はあやねのアパートに行きあやねを寝室に寝かせるとクロはすぐに出て行こうとした。
「いないの?」
「俺はいい、あいつに礼もしないとならねぇからな」
「……あの子とどんな関係?」
すると一瞬真顔を見せるクロだったけど、すぐにニヤついて『秘密』何て戯けるように言って手を振りおれの前からいなくなった。
ゆっくりと閉まるドアの音がやけに大きく聞こえ、静かに閉まったドアのノブに視線が落ちる。
こうしてあやねの部屋に来るのは二回目。
玄関の電気を消すとあやねの部屋から漏れる陽の光が、薄暗い廊下を照らす。
おれはその光景に大袈裟な気持ちをじわじわと感じる。
『クロとあやねはおれの光』
「何考えてんだろ…ほんと、大袈裟」
フッと笑い、おれはあやねの部屋へと入った。