第12章 猫⑫
練習試合があるから土曜日はその試合を見に行く事にした。
ちょっとクロに顔合わせづらいけど、前に体育館に入った時の二人は本当にかっこよかったから、試合をする姿を見たいとあの後思うようになっていたので、私は翌日何の気兼ね無く練習試合へ行けるように、大学で残りのレポートを書き終えそのまま提出してしまおうと、サークルの集まりに参加出来ない事をメールしていた。
荷物を持ち廊下を歩いていると声をかけられ、憂鬱な気分で作り笑いで振り返る。
「…太一先輩こんにちは」
「チーッス!!なぁ〜あやね最近サークルサボり??」
「そう言うわけじゃ無いんですけど、私要領悪いからレポートなかなか終わらないんですよ…」
「あぁ、レポートね!!なんならオレ手伝ったーげようか??」
いやらしく笑うその顔に本当に嫌になる。
どうせ、考えてる事は“ヤりたい”だけなんだ。
私は丁重に断ると、先輩の顔から笑みが消えどこか苛立ってるようにも見えた。
これ以上は何か危険と直感した私は、頭を下げ早足でその場を離れるが、先輩は私の肩を掴んだのだ。
「ちょっ!待てよ!!」
「!!先輩!離して下さいっ!!」
「……シラけんだよな。あやねのその態度」
「だったら、構わないで下さいよ!」