第11章 猫⑪
私を好きと言ってくれた研磨。
すっごく嬉しいのに、なぜか研磨と付き合う想像が上手く出来なかった。
急な展開にまだついて行けて無いのかもしれない。
「あやね何かあった?」
「えっ!?何が!?」
「いや…なんか上の空だから」
「そう?」
私の友人が怪訝な表情で見ているので、相当変な顔でもしていたのだろう。
友人が呆れたように笑っていると、同じサークルの先輩が通りかかった。
「おっ、あやねじゃん!」
「あ…こんにちは」
「なになに?何の話??」
友人とも仲の良いサークルの太一先輩、正直チャラくてあんまり好きじゃ無い。
先輩は私の横に座るとなぜか身体を密着させてくる。
「先輩、近いです」
「あれ?オレの事意識しちゃった!?あはは、あやね本当にかわいいよね〜オレのカノジョになんない??」
「結構です…それより離れて下さい」
「照れんなって!!」
先輩は私の肩に腕を回してより近付く顔に、私は全身から鳥肌が立ちその場で勢いよく立ち上がった。
ガタッとイスが音を鳴らし友人と先輩が驚いた顔で私を見たけど、私はそんな事どうでもよかった…先輩から離れたかったから。
作った笑顔を見せて二人に嘘を付く。
「私、この後予定があるのでお先に失礼しますね」
「あ、うん。じゃあ、またね〜」
「……………」
手を振ってくれる友人、先輩は何も言わずにただ私を見てる。
見られる事に嫌悪感が増し、私は早々にその場を離れたのだ。
その時先輩が私をどう思っているかも考えずに、私は研磨へメールをしていた。