第10章 猫⑩
昨夜の事であまりよくは眠れなかった。
クロに言われた『気持ちを伝える』事も考えて余計眠れなかったんだと思う。
研磨にどう上手く伝えればいいか。
頭の中で整理するけど、上手く整理出来ない……それでも、私は研磨と話す為にメールを開こうとスマホを開いたらメールが来ていた。
開いて見ると送ろうと思っていた研磨からだった。
「研磨だ…」
メールを開けば『今日家に行くから』と短い文、いつも思う。
短いのに印象に残る強さがあるって。
「家…研磨が…」
すると、急に恥ずかしくなり顔が熱くなってる事に気が付いた。
研磨が初めて家に来る…何かあるわけじゃ無いのに、想像しただけで心臓は正直に高鳴る。
高鳴る?……ってことは研磨が好きって事、だよね??
自分の気持ちなのにはっきりと恋してるとは言えない私。
研磨と私の時間は長いようで短いから、幼馴染って言葉もかなり曖昧。
私はソワソワしながら大学へ行く準備を始めた。
頭の中には研磨が家に来るならって色々考えて大学にいるのに家であれをして、これをしてって考えてたらサークルの先輩に声をかけられた事にも気付かない始末。
やっぱりスマホの件を怒られたけど、皆んないい人だから心配もしてくれる。
あの時のクロ同様に……。
クロを思うとまた胸が苦しくなるけど、私にとって大切な人に変わりないから…。
私はその日、家に帰るまでクロと研磨を思い勉強どころではなかった。