第8章 *猫⑧
自分で時間を作るって言ったのに、あれからクロに連絡をしていなかった。
忙しくなったってのも理由の一つ。
大学のサークル活動、レポート作成など大学生らしい生活にバイトの時間も前より少し増えた。
何故なら実家がリフォーム中の為、期間限定の一人暮らしをしているから。
大学から近い場所に借りても良かったんだけど、実家から近い場所に部屋を借りて昔から住んで慣れ親しんだ場所は今も変わらず同じ。
私は今提出期限ギリギリのレポートをあまり得意では無いPCを使って作成している。
「あぁ…終わらない…」
カタカタと打ち込むキーボードの音、画面を長時間見ている為、眼精疲労がつらい。
部屋の床にはずっと放置しているスマホと、提出するレポートが散乱している。
私は少し休憩をする為にキッチンでコーヒーを淹れて来るとPCの前に戻って座る。
充電もせず放置していたスマホ。
後少しだけ調べ物をするので、スマホに充電のコードをさしてまた床に放置し、少し経ってからスマホを見てみると放置してからの数日で着信11件、メール
187件………放置し過ぎた。
スマホを放置し過ぎ!と前からよくいろんな人に注意されてたのを思い出し、焦る気持ちでメールを開く。
サークルのグループが大半を占めていたけど母親や友人達、そしてクロ……
「……研磨、から来てる…」
名前を見ただけで私は早まる心臓を感じながら、すぐにメールを開くと突然画面にクロの名前で電話がかかって慌てて通話を押した。