第7章 猫⑦
目の前に広がる長い黒髪は俺の良く知る人物とは違う。
痛みに耐えて震えるその身体は、今までに感じた事の無い初めての痛みだろう。
本来ならばこんな形で味わう物では無い。
「せ、先輩…大丈夫で、すから…」
高校生が制服で入れるラブホなんてこの辺には無い、まして金だってそんなあるわけでも無い。
だから、こんな雰囲気も無い場所で愛情の無い、ただの欲を吐くだけの行為をしてる。
「動くぞ…」
動けば泣きそうな声で、さすがにかわいそうになって疲れた身体で相手を労わる。
徐々に慣れたのか女から喘ぐ声が聞こえるが、声を聞くと萎えそうなので口を押さえた。
「バレるから声、出すなよ…」
程のいい嘘を信じて、言う通りに頷き声を我慢するあたり健気だわ。
後ろから突いてると長い黒髪があやねと重なってくる、あやねを想像しただけで自分のが正直に反応して大きくなった。
自然と動きも早まっていく。
名前も聞いてないこの子に心でごめんって謝るも、頭ではこの子じゃない相手としている。
本当…俺、最低だわな。
ごめんな、俺の事嫌いになってくれ。
そんな事を願い俺は過ちを犯した。