• テキストサイズ

猫の想い人【HQ】

第6章 猫⑥




「いい加減、はっきりしねぇあやね見てっとイライラすんだよな」
「……………」
「好きなんだろ?」
「だから、そうじゃ無いんだって。昔から、何で距離置かれてるのかが気になるの…」


私から離れてまた笑うクロに、言いようの無い腹立たしさを感じる。


「何で笑うのよ!?」
「そりゃ、笑うだろ…知ってるか?“気になる”ってーのは“好き”になる前兆だって」


その言葉に私は何も言い返せ無かった。
動揺に近い気持ちでクロを見ると、泣きそな笑顔で私を見ていて、さっきまで感じた怒りはどこかへ行ってしまったみたいに無くなっていた。


「それにさ、忘れるとか無しな」
「え…」
「惚れた相手に忘れるとか言われんの、切ないだろ?」


私より20cm以上も背の高いクロの顔が目の前に来ると、今までで一番優しい触れるだけのキスをされた。


「忘れようとしても、こうしてまた繰り返すから…俺の事、もっと考えろよ」



耳元で囁かれるクロの声は、とても寂しいものだった。



/ 123ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp