第23章 おまけ物語
ずっと好きだった女が俺を選んだって確信が欲しかった。
研磨じゃ無く俺を好きだって。
だから。
部屋でレポート作成するあやねに突然聞いてみた。
「あやねさん俺の事好き?」
「またそれ?いい加減しつこいよ」
「だってあやねから好きって言わねぇじゃん」
すると俺の前でPCから覗くあやねは一瞬大きな眼を更に大きく開くとすぐに柔らかく笑うその笑顔で本当は分かってるんだけどな。
それでも言葉としてこいつの口から聞きたい。
「クロってさ、案外乙女だよね」
「はぁ?このカッコ良くてモッテモテの俺が?」
「はいはい、そのカッコ良くてモッテモテのクロは私よりずっと乙女らしいよ」
「………腑に落ちねぇわ」
しかもさりげなく話題変えやがって。
本当…思い通りにいかない女だわ。
余裕の笑みを浮かべてまたレポート書き出したしな。
カタカタとキーボードを打ち込むのを横から覗く事にしたけど、何について書いてるとかはどうでもいい。
真剣な顔で作業するあやねを見てたかった。
しばらく大人しく見ててやったのに、打ち込む指が止まるとあやねは俺を嫌そうな顔で見やがった。
「…視線が邪魔」
「邪魔ってな事無いだろ?俺の愛がいっぱい詰まった視線だぞ」
「その視線に邪魔されて作業し辛いの…そんなに構って欲しい?」
昔っからあやねは俺に対しては冷めた部分がある。
まぁ、愛より先に身体の関係だったから仕方無いんだけど……愛を手に入れた筈の今でもこの塩対応。