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猫の想い人【HQ】

第19章 猫と私④




「あやねを手離す気は無いから、ごめん…おれのわがままなんだ。今日の送別会に行って欲しくなくて…あやねが他の男がいる場所でお酒飲んだりしたら何かあるかもって不安で…余裕無くてごめん」


頭を左右に振るあやねは『私こそごめんなさい』と謝るから、もう一度おれも謝っておれ達はお互い謝りっぱなしだった。
そうあやねも思ったのか、おれと顔を合わせると笑みを浮かべて笑った。


「お互い謝りっぱなしだね」
「だね。あやね…おれが言った事なんだけど…」


行くのか。どうするのか聞こうと思ったけど、あやねはおれから離れると先に部屋の中に入るから、おれも後を追うように靴を脱いで中に入ればあやねは電話をしていた。



「ごめんなさい。今日参加出来なくなってしまったんです。はい…本当にすいません。後で私の方から本人にも伝えます。はい、ありがとうございました。失礼します……」
「…………」
「研磨、今日暇?」
「え…もしかして」
「うん、行かないよ」


微笑むあやねにおれは嬉しくてもう一度抱きしめた。


「ありがとうあやね、おれのわがまま通してくれて」
「良いの、結果からして私は研磨といられるから」
「おれ、あやねの事本当に好き…」
「うん…もっと言って」
「好き…」
「ふふ、何か研磨女の子みたい」
「……何それ」
「だって、こんなに可愛いんだもん。研磨、私も大好きだよ」


そう言っておれの口に軽くキスするあやねにおれはハッとした。


「おれ汗臭いよね!?」
「ん?そんな気にするほどでは無いけど?」
「それ、汗臭いって言ってるよ」
「そう?」
「うん」


面白そうに笑うあやねにおれは、ゆっくりとあやねの手の平に手を合わせ指を間に入れ握る。



「…シャワー、一緒に入らない?」
「……うん。入る」



それ以上何も言う事なく、おれはあやねの手を優しく引いてお風呂場へと静かに向かった。



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