第19章 猫と私④
今とってもウザイ生き物にまとわりつかれてる。
「研磨さーん!!あのお姉さんとはどんな関係なんですか!?」
「……そんな事より早く着替えたら?」
「えー!着替えますよ!でも、お姉さんとの関係気になるじゃないですか!!」
わざと大きな溜息を吐けば部室にクロと夜久くんが入って来た。
「おっ!ははは、何んか研磨がスゲー嫌そうな顔してんですけど〜」
「本当だ。おい、リエーフお前何したんだよ?」
からかうように笑うクロと既にリエーフを注意する夜久くん。
対称的だなって、ちょっと思った。
「つか早く着替えろっ!!今日はレシーブたっぷりしごくからな!!」
「えぇーっ!!夜久さんいっつもそればっかじゃないですか!!」
「いっこうに上達しないお前が悪い!!」
更に賑やか……騒がしくなる更衣室。
俺はやっとリエーフから解放され、置いたままだったスマホを取りメールを確認すれば、あやねの名前がたくさん表示される画面に新しくあやねの名前が増えていた。
部活が始まる前に内容を確認すると、さっきのリエーフのやり取り以上に深く眉間にシワが寄った。
そんなおれに気付いたクロが固まるおれの横からスマホを覗き込んで、無言でまた着替え出した。
「………心配はつきないな」
「…おれ、心狭いのかも…」
苛立ちを感じ、すぐに返信をすると乱暴にスマホを置いて更衣室を出てメールの内容がまた頭に浮かぶ。
『今日バイト先の送別会に行って来ます』
相変わらずの短い文。
居酒屋ならお酒もあるし男もいる。
『飲み過ぎないでね。』
なんて、本当はもっといっぱい言いたい事あるけど、また“ヤキモチ妬いた”とか言われたくなかった。
おれが余裕無いせいで……あやねが嫌な気分になって欲しくなかったから。