第9章 其ノ捌
忘れかけていたが、また兄を思い出してしまい無言で森の中を歩く。
時々、手が触れそうになって思わずその手をぎゅっと握ると相葉も何も言わずに握り返してくれる。
二『俺… 何で弟なんだろう…』
相『………』
二『あ…いや… 何言ってんだろうな…』
そう言うと手を離して走りだす。
相『お待ちください! 和也っ危ないですからっ』
二『え…。 ま…さき? ん…んんっ』
引き寄せられ唇が合わさって力が抜けていく。
相『私は… あなたが…
好きなんです……』
二『ま…さき…?』
相『智様より…私の事を見てくださ
い… そして…私の事を好きになってください』
そう言うとまた何度となく柔らかな唇を重ねる。