第9章 其ノ捌
奴ではない…
細いけど暖かくて、優しくて-
この匂いは……
二『…雅紀? だよ…な?』
相『はい。 さようにございます。
和也殿、お怪我は…お身体大丈夫にございますか?』
二『う……あ…ああ… 雅紀っ…
雅紀っ… 怖……かった…』
声を押し殺しながらもぐちゃぐちゃに涙を流して、相葉の体へと抱きついた。
相『和也殿…』
ふわりと包み込むように抱きしめてくれる。
二『ふ…ぐすっ…か…影丸は?一緒に
おった侍様は?』
相『侍殿でしたら…ほら。』
そういうと指差す。
白煙が消えかけるその頃には、辺り一面敵の男達が山のごとく倒れていて、
その中からは風のごとく二人の影が現れそして刀を振りおろした。
二『才蔵! 影丸殿!』