第8章 其ノ漆
大『この先、いかがいたすか… 自分で決めたら良いのだからな…。
もちろん怪我がきちんと治るまではどこにも行かせるつもりはないけどな
よし。 さっぱりしたであろう。』
櫻『有り難き事にございます。
でも本当に、私は…まだ…此処に居ても
…よろしいのでしょうか。
弟君や、才蔵殿も本当は反対をされておられるのでしょう?』
大『半蔵殿は何も案ずることないのだから
お主の傷が少しでも癒えるまで、ここにおりなさい。』
そう言うと、仏の如き微笑みで髪をすくように頭をなでる。
櫻『ありがとうございます… 智…様。
私の事、
これより「翔」とお呼びくださいませ。宜しくお頼み申します。』
そう言うとその場に三つ指をついて一歩後ろへと下がると
頭下げたのだった。