第7章 其ノ陸
しかし、言っているそばから数人の輩に追われ影丸に手を引かれ走りだす。
国『…こちらに。早く!
走ってください。』
『おいっ影丸さんよ。
可愛いの連れてんじゃないの~?』
風呂に入るつもりでつっかけてきた下駄のせいで全然走ることが出来ずに躓いてしまうと、影丸は腕を引っ張り上げて自分の後ろへと隠すようにして、剣を二本ぬいた。
国『お主ら…半蔵を やったのはお前らだな。』
『覚えてないな~。 どの、いつの可愛こちゃんの話だか』
図体の大きな小汚い身なりの男たち…相手は三人いて、俺をかばいながら一歩一歩と後ずさりして行く。
国『すぐに片付けます。 隙を見て、下駄を捨てて逃げてください。』
二『私も… やります。一本
お貸し下さい』
影丸の腰には三本の刀がささっている。
俺にだって、一人位なら………
国『悩んでる間はない。 やってみろ。』
一瞬悩んだようだったが、そう言うと腰に残っていた一本を後ろ手に渡してくれた。