第1章 暁の恋
智が出て行き、パタンと閉まる襖を
見つめてその場に座りこむ。
いつも、冷静沈着。剣は全く歯が立たない…。小さい頃からの憧れの男。
そして俺の大好きな…兄上。
相『和也殿… 智様でしたら今、風呂に
入られてますよ…
昔みたいにとでも言って、一緒に入ったらいいではないですか。』
二『ちょっ… お前…また 屋根から…』
何の物音もさせずに背後からきた相葉に耳元へと囁かれる。
相『和也殿は、分かり易すぎて見ていられ
ません…
当たって砕けて… したらば俺が慰めてさしあげますから。』
そう言って俺の腰に手を回して引き寄せる。
二『馬鹿言ってるんじゃない。 兄弟だからこそ……
関係を崩したくない……』
相『しかし…黙っていたところで、どこぞ
の姫君と結婚されたら離れるのは定めではありませぬか。』