第1章 暁の恋
暁の空ー
未(ひつじ)の刻。夕暮れ時にはまだ早いが、辺りは日が陰っていて肌寒い風がふいている。
ヤーーーーー アイヤーーーーーー
大『よし。 今日は此処まで。
和也。 大分返せるようになってきたな。
次回は、そろそろ新しい技を教えよう。』
二『はい。 兄上。 宜しくご指導のほど…』
大『どうした? 和也、ずいぶん元気が
ないようだな。
何かあったか?』
二『いえ……。』
大『何だ。私に言えぬことか?』
二『兄上の… いえ… 姫君様の事で。
あのような方は、少し兄様には…』
口ごもるように二宮が言うと、は大きく息を吐いて立ち上がる。
大『…その事か。 和也が案ずる事ではない。』
二『しかし……兄…上…』
大『安心しなさい。 私にもその気はないという事だ…』