第3章 其ノ弐
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母に身支度を整えて貰うと、胸元に短刀、そして、腰に一本の剣を差した。
大『では、母上 行ってまいります。
此方のことは和也と宜しく頼みます』
道中、従兄弟の智久を共に連れ徳川の屋敷へと向かう山の中、早くも引き上げて来た松本と合流した。
そして門をくぐると、息子らしき男が出て来て部屋へと案内される。
大『中へは俺一人で大丈夫だ…。 これを頼む』
そう言って、刀と短刀をそれぞれ預けて一人入って行く。
しばらくすると、何やら智が声を荒げ
た様子だったがまた静けさが続いたのち出て来た。
山『どのような話だったのですか… 』
引き返す森の中、苦虫を噛んだような顔の智におそるおそるといった様子で智久が声をかける。