第20章 二・其ノ玖
少し遅れて起き出した東山も話に入ってくる。
松『本当にいつも、兄上殿には…私からもお詫び致します。 殿への頼み事の時は、東山先生の事を頼りきりですからね…』
櫻『それで、剛健の二人もそれを承諾したと…?』
松『はい…。さようでございますね… 全くどっちも何をお考えなのか。』
東『では、もうあっという間だがもどらなくてはならないな……。
翔。 また来るのだぞ。』
櫻『はい。もちろんにございます。
では、名残惜しくもあるが… 急いで戻ろう。』
素早く準備を整えて、外へ出るとまた東山が少し寂しそうな表情をみせる。
松『馬で来ておりますので、翔殿、どうぞ後ろへ。
』
櫻『ああ。 それではまた。すぐに参りますので……。それまで……』
東山の握った手をゆっくりと離してそう言うと、馬の上から松本が手を引っ張り上げてくれる。