第20章 二・其ノ玖
翌、明朝まだ日も上がらないうちにまた松本が迎えにきた。
松『水入らずを邪魔してすまないが、少しまた厄介ごと…
あ…いや、もしかしたら翔にとっては喜ばしいことやも知れぬが…』
櫻『ん? なんだ。 申してみろ。』
松『…三好伊三入道、三好清海入道二人の事を覚えておいでですか? 』
櫻『ああ……勿論だ。 あの二人が如何いたしたのだ。』
剛健の奴ら…何用だ。 いや連れ戻しにきたしかないか…
健は私の初恋の…はじめての口付けの相手。
松『…実は徳川からの指示で影丸殿とともに連れ戻しにきたのですが。
また、智様のいつもの事によってお二人ともまた家に入れてしまわれようと…』
東『あいつまた殿の御留守に、そんな勝手致して… 大体こちらにも何かしら回ってくるのだからな。
あの兄弟の一生に一度の願いとは何度あるのやら…』