第16章 二・其ノ伍
雅『私は…いや…私も智様に拾っていただいて今ここに
いるのです…』
翔『何を戯けたことをっ。
散々その智様を裏切って和也殿を抱いてきたんだろう!』
そういうと同時に胸ぐらを掴み雅紀の体を布団へと押し倒した。
雅『私は…和也も智様も…大切な
家族のような存在です。 どちら方とも愛しております。』
翔『そんなきれいごと…
私には分かりません。 私は、もう智様を手に入れるためならなんでもできる所存にございます…
もう誰に頼らずとも…何とかしてみせます。』
絞り出すような声でそう言うと掴んでいた手を乱暴に離して離れて行く。
雅『一体何をされるおつもりですか?
あのお二人に危害を加えるつもりなら、私も才蔵も黙ってはおられませんよ?』