第15章 二・其ノ肆
桜と同じほどに染める和也の頬を智の指がそっと撫でた。
ニ『兄上……』
それを合図にすっと目を伏せるとその時、侑李の泣き声と後を追うように、慌てふためく様子の男の声が聞こえてきた。
大『どうした?侑李。 おじちゃんが怖かったのか?』
『申し訳ございません! 智様… お子さまと遊ぶ事に不慣れで…不徳のいたす事にございます』
飛びつくように懐へときた侑李の背中をポンポンとしながらそういってからかうと、その男は息を切れ切れに深々と頭を下げてきた。
大『冗談だよ。 シゲ。頭をあげなさい。
それにしてもこんな所で再会できるとはな』
加『はい。 ご無沙汰いたしております。
一昨年謙信様お雪お嬢様に拾っていただいて…
今は、上杉家で名は景勝と申します。』