第15章 二・其ノ肆
ちはやぶる神代も聞かず竜田川
からくれなゐに水くくるとは
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庭の池の水面に桜の花びらが散ってピンク色に染まっている。
大『綺麗だなぁ…』
二『ええ。 本当にドレス姿…綺麗ですね…。 …あ …にうえ…?』
影丸と妻のお雪の式が終わり、軒先に座って二人が記念写真をしている様子を眺めていると
そんな会話をしながら智の視線が自分の方に向いていることに気づいて、頬を赤く染めた。
大『もう少し、此方へよりなさい。』
二『はい。』
小さくそう言うと、遠慮がちに1つずれるように近づいた。
大『髪…桜ついてる。 ほら。』
二『あ…りがとうございます。 さっ…桜
もあっという間に散ってしまいますよね…。』