第14章 二・其ノ参
大分良くなってきたが、まだお風呂には入ることはできず身体を智様が毎日暖かく絞ったタオルで拭いてくれる。
徳川からきた服部半蔵というものだということを告げても、追い出すような素振りもなく、翔という名前を付けてくれた由縁を話してくれた。
櫻『それにしても… 御兄弟とても仲が
よろしいのですね』
大『ああ…まあそうだな…。
大切な家族だ』
櫻『そうですか… 私も…智様の…
家族…になりとうございます…
大事に…思われとうございます…』
少しの沈黙の後、小さな、消え入りそうな声でそう言うと頬へと涙が伝い流れてゆく。
すると、涙で揺れる視界の向こうに和也の姿が見えて俺は、わざと智様の傍へと寄っていくとなだめるようにしてきたところを首もとへ絡みながら唇を奪った。