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レイジーシンドローム

第1章 熱帯夜


「・・・香苗さーん。」
「んー?」
間延びした会話は、この部屋の空気にぴったりだった。
「俺、なんで彼女と付き合ってるんすかねー?」
こんなに振り回されてまで、なんで一緒にいるんだろうか?
「好きだからでしょ。」
ひょいっとベッド下から顔だけ出して返事する香苗。
「・・・本当に好きなんすかね?」
ぽつりと、弱々しい言葉が空気を揺らした。

もう、なんだか、面倒で疲れた。
回らない頭で啓太はそんなことを思ってしまった。

香苗は自身の腕の中に顔をすっぽり収めて啓太の顔を覗く。
「好きかなんて、んなの知らんがな。」
頼りの香苗からの返事は冷たい。


部屋にはエアコンの冷気を送る音しか聞こえなくなった。
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