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【HQ/R18】二月の恋のうた

第33章 ★ボーナストラック


「ぁ…はぁ…ぁ…」

肩で息をする彼女が、俺と指を絡めたままの手でシーツの上に手をつく。色気を帯びた胡乱な眼差しは、俺を見つめながらも、俺を見てはいない。
快楽の余韻…いやらしく、そして、美しい天海。

見惚れながら充足感を得る。
だが、精神的なものなど吹き飛ばすように、下半身でいきり勃ったものが吠えるように主張する。

――抱きたい。

俺は、自分に抗いはしなかった。
彼女を自分と入れ替えるようにベッドに横たえさせ、邪魔な布団を剥いで落とす。
サイドテーブルに置いた避妊具の袋を取り、眠りに落ちる前に使ったのとは逆側の端の袋を歯で噛み切る。

「若利、くん…」
「夜の予定などないと言ったな、天海。ならば、朝まで俺に抱かれろ」

抱えた両膝をさらに左右に広げ、命じてみせた。
額に手の甲を当てた天海は、
「…最初から、そのつもりだよ…」
と小さく呟いた。

俺は、その言葉の最後をさらうように口付けて、手早く薄い膜で覆った己を彼女の秘所に当てがい――腰を一気に落とした。

「あぁっ!」

甲高い声が彼女の喉の奥から迸る。
対する俺も、片目を眇めて奥歯を噛んだ。

指で解さなかったせいか、今日3度目にも関わらず挿入だけでかなりキツい。

「若利、くんっ…」

乱雑に散らかした熱い息の合間に天海が震えて呼びかけてくる。
俺以上に苦しいのかもしれない。
慣らそうとゆっくり腰を動かせば、天海が甘く鳴いた。

俺も、たまらずに呻く。

「ッ…ぁ…天海」
「ぁ、ぁっ、若、利、くんッ」
「天海――ありさッ」

名を唱え、腰の律動を次第に速めていく。

――この部屋に入ってから、目、耳、唇、舌、指、すべてで天海を求めた。何度も。
でも、まだ足りない。

俺は天海の全身を、触れていない箇所などないと言えるほどに愛し尽くし…それでもまだ満足なんてできない。
一生、満足などできはしないのかもしれない。

交わるたびに、腰を打ち付けるたびに、彼女を愛するたびに、「もっと欲しい」と思う。

いま、この瞬間ですらも。

「ん、んぁ、ぁぁ、ぁぁっ」

ぐじゅ、ぐじゅ、と卑猥な水音を繰り返して俺を咥えた天海は、横目で俺を見つめつつ、半開きにした唇の端から嚥下できない透明な糸を垂らして、鳴く。
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