第4章 ユーリ←→チロル
ドタドタドタ
ドンドン
ミルクが朝の身支度を整えているとドアがノックされた。
(えっ、誰……
王宮にこんな雑なノックの仕方する人いない。)
返事をして、おそるおそるドアを開けるとそこにはユーリがいた。
「早く開けろよなー。」
ユーリとはとても思えない言葉遣いにびっくりしていると、ユーリの肩にチロルが座っているのに気づく。
「ユーリ、なんかいつもと雰囲気違うけどどうしたの?」
「オレ、ユーリじゃねーもん。
…で、どーすればいいの?」
ユーリは肩に乗るチロルに話しかけた。
チロルがキュッと鳴く。
「えー髪を結う手伝い?無理だよー。」
「えっと、ユーリじゃないなら誰なのかな?」
「チロル。」
「……?」
「もしもーし、チ ロ ル だ よ。」
………………
髪は今日は簡単に巻いてまとめるだけにして、残りの身支度を手早く終わらせることにした。
ユーリ……ではなくてチロルの話を聞くためだ。
「なんかよくわかんないけど、オレがチロルで、こっちがユーリなの。」
ユーリがキュッと頷く。
が、この説明では経緯が全然わからない。
「とりあえず、オレとユーリは話せるからユーリに指示出してもらって、元に戻れるまでオレがユーリとして過ごすって2人で決めたからー。
よろしくな、ミルク。」
ユーリがグググッと鳴いた。
どうやら怒っているようだ。
「よろしくお願いします。ミルク様。
……めんどくせーから2人の時はミルクでいいだろ?」
笑いながらミルクは頷いた。