第27章 touchで起こして…勝手に彼目線ーアランー
「ふぁ……。」
視察に同行した帰り道。
最近忙しかったせいか、ミルクはシートに身を沈めてあくびをしている。
「明日はゆっくり休めば。」
気遣ってそう告げると、眠そうだった目を見開いた。
「やだ!明日は久しぶりのお休みだから朝からアランと一緒に過ごしたい!」
「別にいつも一緒だろ。今日だって1日側にいたんだし。」
「お仕事で一緒にいるのとは別だもん。」
「あっそ。」
まぁ、それは俺もそう思うけど。
甘えてくるミルクに、なんとなく照れくさくなって窓の外を見る。
早く休ませてやりたいのに、まだこの辺なのか。
「城まであと30分はかかるから、……」
到着まで眠ってろ、と続けようと振り返った時にはミルクはすでに目を閉じていた。
ったく……。
ミルクの隣に移動して、うとうとと揺れる頭を肩に乗せてやる。
わがまま言う元気だけはあるのにな。
城についても、ミルクは目を覚まさない。
「おい、着いたぞ。」
「んん……。」
扉が開いて、ユーリが顔を出した。
「ミルク様、おかえりなさい……、あ。」
「起きないから、このまま俺が部屋まで運ぶ。
荷物のほう頼む。」
「はーい。……逆でもいいんですよ?」
この執事は……と思いながら笑顔で返す。
「それ、本気で言ってる?」
「冗談ですよ!
アラン様、その威嚇の仕方やめてください、凄く怖いです。」