第24章 忍ぶ想い ー佐助ー
「……1ヶ月後、どうする?」
ワームホールが開くまであと1ヶ月。
佐助くんの腕枕でまどろみながらふと尋ねてみた。
「俺は紗代さんがいるなら、ここに残っても現代に帰ってもどちらでもいい。
戦国時代をもっとこの目で見たいし、謙信様のことも心配だからできれば残れたら嬉しいけど。」
「うん、私も今任されてるお針子の仕事にやりがい感じてるし佐助くんがそう言うなら残ってもいいよ。
戦国武将、みんなイケメンだし……。」
「だめだ、やっぱり帰ろう。」
「うそうそ!今のは冗談だよ!!」
こんな風に笑って話せることに、ふわふわとした幸せを感じる。
「……俺はそろそろお暇しないと。
頻繁には来れないけど、また忍んでくるから待ってて。」
「うん。」
「 紗代さんが欲求不満で一人でしたくなる前には来れるようにするから。」
「ちょっ!もうその事は言わないで……。」
佐助くんは眼鏡の奥で少し笑った。
今日は意外な一面を見られた気がした。
まだ知らない佐助くんをこれからもこうやって知っていけるのかな。
私はそんな淡い期待を胸に、「これにてドロン」と消える佐助くんを見送ったのだった。
2017.02.15 up