第24章 忍ぶ想い ー佐助ー
「俺は何も見てない。
だから、何をしてたのか教えて欲しい。」
「えっと、それは……。」
「俺の名前、呼んでたよね。」
「それも聞こえてたんだ……。」
紗代さんは俯いたまま答えてくれる。
「佐助くんのこと、考えてたの。」
気がつくと紗代さんの髪に触れていた。
紗代さんは驚いているようだ。
俺も自分の行動に驚きだ。
「俺のこと考えて何してたの。」
紗代さんの口から聞きたい。
「言えないよ……聞いてたんでしょ?」
恥じらう姿が可愛くて、衝動的に腰を引き寄せた。
「や、あっ……佐助くんっ?!」
空いたほうの手で紗代さんの胸に触れる。
「一人でこういうことしてたの?」
「あ、んんっ …… っ 」
そのまま手を動かすと、紗代さんはしがみついてきた。
「なんで、佐助くん……こんなことっ 」
「なんで、か……。どうやら、俺は君のことが好きみたいなんだ。」
俺はそう答えると、俯いた顔を覗き込むように唇を寄せた。