第21章 過ぎ去りし時 ー秀吉ー
少し考えてから私は告げる。
「えっと、私、叶った気がしていなくて……。」
「どうしてそうなるんだ。」
「私のこと、女として見てますか?
恋人になれたと思ってたけど秀吉さんは私に全然触れてこないし、やっぱり妹としてしか見てもらえないんじゃないかって不安なんです。
あの女の人にいつかしたみたいに、私のことも抱いて欲し……っ 」
思い切って放った言葉の途中で、秀吉さんに抱きすくめられた。
「俺にはそんなことできない。」
私をぎゅううと抱きしめたあと体を離すと、秀吉さんは私の手を握った。
「俺がその日暮らしで荒れてた時期があったという話は覚えてるな?
あいつはその時に知り合った女だ。
あの頃はその日が楽しければよかった、女なんて誰でもよかった。
気まぐれに一度そうなっただけだ。」
秀吉さんは私の目を見て話し続ける。
「俺はずっとそんな風にしか女と関わってこなかった。
だから、どうしていいかわからなかったんだ。
触れたら壊してしまいそうで、その場限りじゃなくずっと側で大事にするってことがどういうことか……。」