第20章 勘違い ー光秀sideー
秀吉は紗代のことを妹のようだとよく言っているが、見ていればわかる。
甲斐甲斐しく世話を焼いている様子は、あきらかに妹に接するそれじゃない。
荷物を持ってやる時も、鼻緒を直してやる時も。
「おや、これはこれは仲睦まじいことだな。」
からかってやると、慌てて否定する。
秀吉にそんな顔を見せるお前が悪い。
「こんなところで睦み合いか?」
この時は否定もさせてやらなかった。
足とはいえ、簡単に身体を触らせるお前が悪い。
気を許しすぎだ。
紗代が秀吉といると聞けば、わざと鉢合わせるように動いた。
きっと、俺が勘違いしていると思い込んでいるだろう。
去り際に見せる歯がゆそうな顔もなかなか見ものだ。
そうやって焦れて、俺のことだけ考えていればいい。