第18章 天使と小悪魔 ーユーリー
あれ?俺……、そうだ。
腕の中にはミルク様がいる。
あ……。
繋がったままのソレを、ズルリと引き抜いた。
ミルク様……。
「ごめん、こんなことしたかったわけじゃない……。
ミルク様のことは……誰よりも大事にしたいと思ってたのに……。」
そう告げると、ミルク様は涙で濡れた瞳を俺に向けた。
「ユーリ、元に戻った?」
言われてみればもう1人の自分は消えていて、身体の中の違和感がなくなっている。
「そう、みたい。」
「……私、ユーリの中の悪魔の心も天使の心も好きにはなれない。」
酷いことしたから当然だ。
「俺、もうミルク様の側にはいられないね。」
うなだれてそう言う俺に、ミルク様は続けた。
「最後まで聞いて?
でもね、2つの感情を心の中で葛藤させて、今までずっと側で支えてくれたユーリのことは大好きだよ。
ユーリのことは信頼してるし大事に思ってる。」
ミルク様はネグリジェを手繰り寄せた。
「シャワー浴びてきます。
戻って来たら、執事服を着たいつものユーリにお茶を淹れてもらえますか?」
俺が頷くと、微笑んで部屋を出て行った。
2016.10.08up