第16章 月夜の待ち合わせー政宗ー
「おはようございます。」
挨拶をして部屋に入ると、ほとんど揃っていた皆が私に注目した。
なに、顔に何かついてる?!
誰も何も言わない変な空気の中、いつものように末席に腰を下ろす。
信長様は楽しそうにこっちを見ている。
そこへ三成くんが入ってきた。
「あ、紗代さんその簪素敵ですね。
政宗さんの兜とお揃いみたいです。」
え?
「見せつけられてるみたいで癪だから黙ってたのに。」
と、家康。
「こういうやつがいると話が進んでありがたい。」
光秀さんは笑っている。
「なんだ、貴様知らなかったのか?
政宗の兜はそれと同じ三日月の意匠を凝らしてあるんだが。」
信長様が、きょとんとしている私にそう教えてくれた。
そうなの?!
言われて見れば、歴史の教科書とかで見たことあるような。
「そういうことだ、以後紗代に手を出すやつは俺に斬られると思え。」
こうなることわかってて、簪つけてこいって言ったんだ。
恥ずかしいような嬉しいような、くすぐったい気持ちになる。
晴れて公認の仲になったけれど……
「紗代、いじめられたらいつでも俺のところに来るんだぞ。」
「斬られますよ、秀吉さん。」
「おまえはちゃんと意味分かって言ってるのか?」
騒がしい日々はまだまだ続きそうだ。
私は政宗と目を合わせて笑った。
2016.09.29 up