第11章 シド←→ジャス2
「よお、ミルク。
今日はなんだ?」
え、誰?
また私からかわれてる?
シドがジャスと入れ替わったと偽って私の告白を引き出してから数ヶ月。
あの時はまんまと引っかかったけど、同じ手は通用しないよ。
「ねぇ、また私から何か聞き出そうとしてる?」
「あーあ。シドのフリしようと思ったのに。
なんでわかったの?」
「シドはそんな風に私の名前呼ばないから。
っていうかシドのフリって何?シドのフリをする誰かを演じようとしてたの?
え、なんか自分で言ってて複雑だな……。
私、聞きたいことがあって来たんだけど。」
「そんな難しいことじゃなくて、俺ジャスなんだよね。」
入れ替わるなんて魔法みたいなことあるわけないって言ってたのシドなのに!
「信じられない。」
「どうやったら信じてもらえるかなー。
あ、キスでもしてみる?」
えっ、と思った時にはシドの手が耳のあたりに添えられて、唇が重なっていた。
ちがう。
シドはこういう時いつも、私の顎をすくうようにする。
……でもこれだって、お芝居かも。
「彼氏のキスかそうじゃないか、恋人ならわかるよね?」
こんなのズルい!
半信半疑だけど、こんな風に言われたら悔しいからとりあえず信じることにする。
「で、聞きたいことって?」
シド……じゃなくてジャスが訊ねた。