第5章 *お買い物
うんうん、と笑顔で頷くアニミさん。
彼女は性格が性格なため、空気が読めないという偏見を持たれるのだが実は察しがよくて話の分かる人なのだ。
だからクレス君の事も深く聞かずに受け入れてくれた。
「んじゃあ、クレスとの会話はー……コレに書いてもらおっかな」
板に紙を挟み、ペンと合わせてクレス君に渡している。
「おーい! ティーラ」
「はーい? 何かあったー?」
アニミさんが呼びかけると、店の奥から落ち着いた男性の声が返ってきて、すぐにその姿が現れた。
「ヴィアちゃんが男の子を連れて来たよ?」
「え?……あぁ、ヴィアちゃん久しぶりだね。いらっしゃい」
整った顔に落ち着いた大人な雰囲気を纏った男性、この店でアニミさんと一緒に働いているティーラさんだ。
ニコッと優しさを含んだ笑顔で言われ、毎度のように女性はイチコロだなぁ…と思う。
『お久しぶりです、ティーラさん。あ、この子は新しい子のクレス君です』
「……。」ペコリ
「クレス君、よろしく。…そっか、喋れないなんてね」
クレス君を見て突然そう言ったため、驚いた私はすかさず聞き返した。
『ティーラさん、なんで分かったんですかっ?!』
「ん? 何がかな?」
『喋れない事ですよ、初めてなのにどうして分かったのかと驚いて』
「…何となく、かな? そんな気がしたんだよ(笑)」
そう言ってまた笑うティーラさん。
これには私もクレス君もびっくりだ。