第8章 Shall we?〜岩泉一〜
「…うっせえよ」
面白くないと頬を膨らす及川をもう一度叩いて
教室を出る。
「あの…岩泉くん…!」
どこのクラスかもわからないような女に
囲まれるのももう慣れた。
「作ったの…食べてくれたら嬉しいな…」
「…ありがとう」
正直甘いものはあんまり好きじゃない。
でも断って悪評を流されでもしたら俺の恋が
上手くいかない。
よって俺はもらったお菓子をバレー部の
メンバーと分けている。
「…はぁ」
自販機でパックのコーヒー牛乳を買って
握りながら吸い飲む。
「甘っ」
コーヒー牛乳じゃなくて牛乳コーヒーのような
シロモノを飲みながら教室に戻る。
「あーっ、岩ちゃんまたお菓子もらってるー」
「お前もだろうがボゲ」
「岩ちゃん甘いもの嫌いなんだからそのぶん
及川さんにくれたらいいのにねー」
いかにも甘そうなチョコを口に運びながら
悪態を吐く及川を見ながら、さっきこいつに
言われた言葉を反芻していた。
「ねぇ、本当に何もしないの?
このまま動かずに卒業していくの?」