第5章 Run away〜二口堅治〜
堅治が追ってこないかだけを
気にして、廊下を走り抜ける。
「小鳥遊!走るな!」
先生に阻まれても、今は
止まってなんていられない。
逃げてきた手前、彼に捕まるわけには
いかないのだ。
「…小鳥遊」
「えっ…?ああ、青根くん…」
私の袖をくいっと引っ張って止める。
「二口は?」
「…屋上、だと、思う」
「そうか」
「…じゃあね」
見られてたら…なんて考えたくない。
怖すぎる。
「あんず、課題…」
「…ナナちゃん」
「どうしたの?顔真っ青だよ?」
「ちょっとね」
「もしかして、二口くん?」
「え…」
ナナちゃんは至って真剣な顔で。
「ヤンデレ…なんでしょ?」
知ってるんだ…。
「大丈夫?手首、青い…」
「え?…だ、大丈夫…」
「あんず、悪いこと言わない。
やっぱ二口はやめときな?」
「ナナちゃん…」
「このままだと危ないよ」
「でも…」
「好きなのはわかってるよ」
「うん」
「でも。傷ついてほしくないの」
「…ありがと、ナナちゃん。
でも、私には堅治しかいないから」
「いるでしょ…。工業高校だもん」
「いない。堅治が一番かっこいいの」
バレーしてるときの真剣な顔。
私と話してるときの楽しそうな顔。
電車で寝ちゃったときの可愛い寝顔。
結局どれも大好きなんだよ。