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[HQ夢]愛されたいのはあなただけ

第8章 Shall we?〜岩泉一〜


よくない。
そんなことは自分が一番わかってる。

「……」
「俺の先輩はそんなヘタレなんすか」

今日一度も口を開かなかった京谷が
ぼそりと呟いた。

「俺が憧れてた先輩は好きな女に声も
かけられないヘタレなんすか」

好きな女。
ああそうだ。
俺はあの子のことが大好きだったんだ。

「早く言わないと終わるぞ」
「一生後悔するんじゃねえの」

彼女と同じ教室で過ごした半年間が
フラッシュバックする。
居眠りしていた俺をシャーペンでつついて
起こしてくれたり。
急に当てられて答えられない英語の問題の
答えをこっそり教えてくれたり。
そのたびに
「しっかりしてよ、副キャプテン」
って笑っていた。

「早く!」

及川に背中を叩かれて、押し出される。

「行ってこい!」

キャンプファイヤーの周りをいろんな学年の
いろんな男女が踊っている。
小鳥遊は。

「小鳥遊ー!小鳥遊あんずー!」

よくある名前じゃない。
ましてやフルネームでなんて。

「そんな大声で呼ばないでよ…」

俺の背後からもじもじしながら現れたのは、
短い茶髪に赤いクラスTシャツを着た
小鳥遊だった。

「…俺と踊ってくれねえか」

顔を上げて、意地悪に微笑む小鳥遊。

「ダンスなんて、必要?」

言われている意味がわからなくて、首を
傾げていると俺の首に細くて温かい腕が
巻きついた。

「好きよ」

そう囁いて俺の口角に口づけた。

そのモーションに合わせて細い髪が揺れて、
甘い香水の匂いが俺の鼻をくすぐる。

「わたしと付き合って」
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